ジョジョジョ・メモリーズ

ジョーカーズと戯れる紙のオタクの日記

”諦め”という言葉が最も似合ってしまったゲーム〜装甲娘感想〜

どうもShinです。

 

 

アプリ「装甲娘 ミゼレムクライシス」のサービス終了が決定しました。

ダンボール戦機シリーズの続編との触れ込みのもと、多くの過去作ファンを取り込んで盛り上がっていくはずだった本作。

私自身もシナリオ、細部のこだわり、キャラの細部から見える原作へのリスペクトなど本当に大好きな要素の多いゲームであり、このブログでも一度取り上げたことがあります。

 

jojojojokers.hatenablog.jp

 

 

ただし、世間での風当たりは強過ぎると言っても良いほど強く、「ダンボール戦機の擬人化」という認識だけが先行して原作のファンからの否定的な意見も多い作品でした。

それでもゲームが面白ければ、そんな声を打ち消せるぐらい大きなコンテンツになるだろう。

私はずっとそう考えてある時まではこのゲームをプレイしていました。

 

そう、「ある時までは」。

このゲームはそのコンテンツ力の全てを投げ捨て、”諦め”という言葉がこれ以上なく似合うサービス展開をし続けてきました。

このブログはそんな諦めを振り返ることにした、強化ダンボールの中に取り残されたかつての装甲娘ユーザーによる、「この過ちを2度と繰り返してほしくない」という墓標です。

 

 1.問題点①ゲーム内資産にまるで生まれない価値

ソーシャルゲームというのはその特性上、キャラクターの育成のために「経験値素材」、「レベル上限解放素材」「レアリティ上昇素材」「その他装備」と言った複数の素材を使っていきます。

本作においても例外ではありません。そしてここが本作の明確なゲームとしての欠陥を生み出していました。

経験値資材とレベル上限解放資材はゲーム内通貨を用いて購入する、クエスト報酬などと潤沢過ぎると言って良いほど配布されていましたが、一方で「レアリティ上昇素材(以降「ユニットチップ」)」と「その他装備(カスタムパーツ・ACCM)」の入手難度が極めて高く、1つのキャラクターを完全な状態にするためにはとてつもない労力と時間を要する仕様でした。

 

まず最大の問題であるユニットチップに関して。ユニットチップは

・各キャラクター1日3回、スタミナ20ずつを消費して行える「ミラージュバトル」での入手

・ガチャの被りで手に入る「マルチチップ」の交換

・イベント・クエスト交換報酬

しか入手手段がありません。その内から「ミラージュバトル」でユニットチップはほぼドロップせず、メインキャラと一部のユニット19種類のみ。課金アイテムで挑戦回数自体は増やせますが、そこまでしても手に入る訳ではありません。

ガチャ産のキャラクターの多くは「NEOアルテミス」というオンラインで他ユーザーと対戦するモードか「探索」という一定期間キャラクターをセットしておくことで素材を集める機能によって得られるメダルを交換して集めることが主なユニットチップの入手法になります。

しかし同じような要因で使用するキャラクターの素材がそこに集中しており、そこにガチャの排出率も加わることで「ガチャを回す→マルチチップを手に入れる→一気に交換」という方法が一番効率が良いという状態になります。

ガチャの仕様についてもここで改めて説明すると、星1で1個、星2で10個、星3で80個マルチチップがもらえます。排出率があまりに低いため、マルチチップだけは異様な速度で溜まります。溜まったからちゃんと補填になっているのか、と言われるとそうではなく、交換比率が一定回数を超えるごとに上がっていき、最終的な合計では1500個ほど必要なので数回のガチャで得られたマルチチップで1人のキャラを育てることもできません。(下記サイト参照)

soukou.swiki.jp

 

ちなみにガチャの為に使う「コアストーン」ですがガチャの他にスタミナの全回復、NEOアルテミスのクールタイム回復などに使用することができます。

このゲームのレベル上限解放素材は斬・貫・衝タイプと前衛・中衛・後衛のポジションごとに共通(例えば斬・前衛のキャラであれば全員同じレベルにするまでに同じ素材が同じ量必要)なので、必然的にメインクエストの周回を要求されます。スタミナは基本的に10以上必要で、デイリーミッションで配られるスタミナは200程度なので当然ユニットを手早く育成しようと思ったら石をスタミナ交換に使うことになります。もう一方の「NEOアルテミス」のクールタイム回復ですが、ランキング報酬での還元率が低く消費した分に見合わないので多くのプレイヤーはまず通らないやり込み要素です。

 

上限解放素材はイベントやショップ交換でも手に入りますが、1個〜数十個なので多くのキャラを育成しようと思うとクエスト周回の方が圧倒的に得です。そして何よりも強力な単騎のキャラクターではなく、5人のチーム編成によって戦うことが求められるゲームである為、最低でも5人のキャラクターを一定期間継続的に育成し続けなければなりません。

ショップ交換のメインは経験値素材です。最大数手に入る素材はゲーム内通貨(クレジット)によるショップ交換でしか手に入らないので、その他素材と共にまとめて購入し、クレジット

で更新して…という作業の繰り返しになります。クレジットはこのゲームで最も多く手に入る素材である為、必要数を稼ぐだけならショップ更新が一番手早いです。

 

結果育成サイクルはこう言った形になります。

①デイリーの資源調達でスキップチケットを入手。

②スタミナを消費し、レベル上限を解放。

③ガチャを回しマルチチップ→ユニットチップを交換。星を上げ、カスタムパーツとACCMをつけていく。

 

カスタムパーツとACCMの仕様について説明すると、カスタムパーツは星の数毎に最大5個までに装備できる数が増える補助素材の事。その名前の通り、カスタムすることでさまざまな効果を持たせられる他、ユニットごとに固有の「特殊モード」として自動でスキルの発動する組み合わせが存在します。ACCMはユニットの武器ごとに装備させられる共通の必殺技とステータス向上(個体差あり)を持ったアイテムです。余ったカスタムパーツを使ってACCMのレベルを上げることでより性能が向上していきます。

しかしながらこのカスタムパーツは「スパイラルタワー」とイベント報酬、ACCMは「探索」と「連合イベント」でしか手に入れることができません。

スパイラルタワーは1日2回のみ挑戦が可能で、手持ちのユニットが全滅するか勝ち抜くかリタイアまで抜けられないチャレンジ要素の強いモード。相当育成の整ったメンバーを複数組用意した上でないと挑めない上に、報酬でのカスタムパーツドロップも例によって低確率です。

しかも頭・胴体・左腕・右腕・脚という形でカスタムパーツの配置が定まっている上に、脚のカスタムパーツは星5でなければ装備することすらできません。結果溜まった脚のパーツは全てACCMの強化に回されていきます。

ACCMも1日3回の探索で数個単位でしか手に入らない上に、上限解放の為に最終的に数十個必要になります。武器によって使える数も異なるので、毎日ひたすら同じエリアを選択してその度にユニットの編成も変えて…という地道な作業が要求されます。

スパイラルタワーに関してはコアストーンによる挑戦の増加もない為、現実世界での時間を消費することで育成していく必要があります。

 

お気づきになられている方も多いかもしれませんが、全体的な育成を通して課金要素があるのは「ガチャ」と「ミラージュの回数増加」のみ。他は全て現実世界の時間とゲーム内スタミナを消費していくことで得られてしまいます。積極的にガチャを回して新キャラが出ようと出まいと育成ペースは追いつきません。レベル上限もシナリオを追うごとに増加していき、その度に根気よく素材を集めていなければいけないので、「より継続して遊べていたか」が最重要要素となります。

ミラージュバトルとスパイラルタワーにもう少しプレイヤー的なメリットがあれば、育成環境が整えやすく新規参入もしやすかったのではないか…と感じます。

スタミナ配布以降この育成システムに関しての修正はほぼなく、最終盤に差し掛かった今アイテム配布数を増やしているのは「諦め」とも言える対応の遅さと言えるのではないでしょうか。

 

2.問題点②キャラクターが「ない」からこそ起きてしまった悲劇

現在実装予定ユニット含め100種類(内同一キャラのイベント限定版あり)と原作の機体数の多さからリリース1年にも関わらず多くのキャラクターに恵まれている装甲娘。しかしその多さが裏目になってしまったこともあると言えます。

装甲娘は多くの人が誤解しているような「ダンボール戦機のロボット(LBX)の擬人化」ではなく、その技術を応用した新兵器を纏う女の子達です。彼女達は全員、LBXではなく固有の人格やストーリーを持っており、その細部には元としたLBXの機能を彷彿とさせる特性や使用者と似た境遇であったりします。例えばカイザであれば「AIによる予測」という部分が「予言を信じる厨二病チックな女の子」とされていたり、ドットフェイサーであれば「父親との不仲」だったりと(アラタと父親の話は小説版限定なので本当にマニア以外知らないのですが)というような細やかなリスペクトが感じられるものに仕上がっていました。

しかし、先ほど述べたように「LBXの擬人化ではなく新規の固有なキャラクターである」という点が、「毎月プレイヤーからすると誰かわからないキャラクターが次々に放り込まれていく」という事態になりました。新キャラの実装に間隔がない上に、そのキャラに関しては絆レベルを上げて読めるシナリオでしか窺い知ることはできない。これが先ほどのガチャのゲーム的なメリットの薄さ・育成難易度と合わさって、手持ちのユニットを育成しシナリオを読んでいる間に増えた新キャラに対応しきれる様々なリソースがないといった状況に陥ります。

ユーザーが慢性的にゲーム内資産面でジリ貧である為、いかに魅力的なキャラが出ても持て余してしまうのです。

挙句の果てに主要キャラはおろか近日実装されたばかりのキャラの誕生日を公式アカウントで大々的に祝う、原作ゲームでも限定的な手段でしか入手できないマイナーな機体をベースにしたキャラが毎月追加されていくなどユーザーがゲームを遊ぶペースに対して公式がキャラクターを使ったコンテンツ展開のペースを急ぎすぎていた印象を受けます。

また、アニメ「装甲娘戦機」ではアプリ版とは全く異なる世界観で展開しているということも全く周知できておらず、アニメ版から入ってきた新規を困惑させる要素が大きかったことも問題であると感じました。

3.問題点③関係者への冒涜

装甲娘は当初より原作ゲーム「ダンボール戦機」の今なお続く根強い人気と、豪華なキャスト陣を売りにしていました。その「声優を用いたプロモーション」があまりにも雑だったことも大きな問題だと思います。

大々的に宣伝されるのは「声優が豪華であること」。

にも関わらずメインメンバーであるファーストケースの5人の声優に関してはほとんど本作関連での露出がなく、ラジオ番組のメインパーソナリティに抜擢されたのはメインシナリオには関わらないキャラを担当されていた方とお笑い芸人の方の2人。

そんな状況にも関わらずサービス終了後にリリースが予定されている装甲娘TCGにおいては「豪華声優サインカード付き」と宣伝する始末。

www.tcg-corp.net

 原作のレジェンドメンバーを実装したタイミングといい、声優に対する扱いと言い原作関係者や声優の関係者にあまりに失礼だと思うのは私だけでしょうか。

終わるからといって諦めるかのように別メディアに移行して名前だけを借りて儲けようというのは侮辱ですらあるように感じます。

 

 4.それでも諦めきれないから

ここまで批判ばかりを書き連ねておきながら言い訳がましいとは思うのですが、私は装甲娘という作品が、ひいてはダンボール戦機という作品が大好きです。小学生時代本当に模型店キタジマで遊ぶように友人とプラモデルを並べていたあの日々を今でも覚えています。原作のシナリオに関しても今でも思い返して、見返して、あの当時高くて買えなかったWARS以外のゲームに関しても春の500円セールで買った超カスタムをのんびり楽しんでいます。

多くの未プレイの人から「擬人化だ」「男性ファンに媚びるためだけだ」「あの頃が良かった」と言われるたびに「ちゃんとダンボール戦機を踏襲したシナリオで、原作のキャラも出ているし、オリジナルでより面白いシナリオなんだ。だから一度読んでから言って欲しい。」と思い続けて、時には伝えてきました。「ダンボール戦機の復活」という夢のようなシチュエーションを、シナリオという形で昇華し、新たなシナリオとIfとしてこれ以上ない世界観を提供してくれた公式には数えきれない感謝があります。

だからこそ、諦めて欲しくなかったのです。

このゲームはただゲームシステムだけがその他のコンテンツと比較して劣っていたのです。そこさえ直せば、圧倒的に力のある作品でした。

決して「あの頃が良かった」という人達が思い描くように原作を馬鹿にすることもなく、原作を否定することもなく、真摯に原作に向き合ってくれていました。新しいキャラクターに対しても「ダンボール戦機世界の新しいキャラクター」という枠の中でそれぞれの物語を描いてくれました。

ただ、ユーザーに対してもう少しだけ、ほんの少し歩み寄って欲しかった。それだけなのです。

おそらくイベントの内容が繰り返されたり、新キャラの元ネタがマイナーな機体ばかりになっていた頃から、もっと言えばアプリ公式アカウントに対する反応が日に日に衰え、律儀に「俺の知ってるダンボール戦機じゃない」と反応していたアカウントを見ることも無くなった頃から、運営側には「サービス終了」という結末が見えていたのでしょう。内部で終了を決めた正確な時期は分かりませんし、分かることもないと思います。ただ、もう少しだけ作品を諦めて欲しくなかった。

せめてTCGのリリースではなく、アプリ本体を続けられることを考えた施策をして欲しかった。

それが私のこの作品に対する思いです。もう自分では長らくプレイしていなかったし、娘戦機もいまだに追いつけていません。コンテンツを「諦められている」と思った時から自分自身も熱意を失っているので、本来であれば何も言う資格はないと思います。下手すれば「あの頃が良かった」という人達よりももっとタチの悪いアンチですし、そうとしか見えないと思います。それで構いません。この記事は最後の「装甲娘を好きだった自分」の墓標なのですから。

 

タチの悪いアンチなのでせめて最後まで、アプリが終わり、「装甲娘戦機」を見届け、TCGがリリースしてそれすらも終わるまで必死に追い続けて、必死に批判し続けていこうと思います。

もしこの記事を読んで、惨めなアンチでしかない私に共感してくれた方はぜひ前川紘殻(現紘殻)さんの「目を閉じて・・・」をお聞きいただければなと思います。

 

それでは次回、今度は打って変わって明るく楽しい内容の記事でお会いしましょう。

記事に関して何かありましたらTwitterまでお願いします。

@Jokers_Jojojo