筆者の猛烈な自分語りを飛ばしたい場合は項目1から読まれることをお勧めします。
0.経緯
カードゲームが,したい。
切実な願いだった。ここ最近の忙しさですっかり薄れていた気持ちだった。
調整チームを発足させるなどして向き合う環境を整えたは良いものの(前回参照),そもそも腰を据えてデュエルマスターズをする時間がそう多くは取れていない。
増える授業,責任の増すバイト,立ち塞がる進路他諸問題。
活動量の低下に伴い,衰える体力と思考力。
最近は体力低下に伴いタブレットでダラダラとできる『遊戯王マスターデュエル』にかまけており,本来のメインコンテンツであるデュエル・マスターズの方にはまるで追いつけていなかった。
いつしか新カードの情報も周回遅れ,マスターデュエルでもデュエマでもカードパワーの暴力に溺れ,思考せず漫然とコピーリストを振り回すだけになってしまった。
記事執筆からも完全に遠のいており,このままでは隠居した陰キャ(サブマリン・オコモリ)Shinに成り果て,インターネットを漂う弱そうなアウトレイジと化してしまう。
民法上成人の姿か…?これが?と早くも20歳目前にして自らの不自由と貧弱さ,情けなさに絶望する。
そんな筆者の元に,Shin友軍団とは別方面の高校時代の友人から連絡が入る。
それぞれ趣味が似通い,ふんわりとオタク趣味を共有するタイプの友人。
お互い自ジャンルの話をする流れで「デュエマをやってみたい」と持ちかけられる。
どうアプローチするか真剣に悩んだ。デッキを貸そうにも手元にはあらゆる暴力を煮詰めた凶悪なデッキか,明後日の方向にジャンプする奇天烈ジョーカーズしかないからだ。
強力なデッキは現代デュエマのイントロダクションには最適かもしれないが,これはカードゲーム初体験な友人には少々カロリーオーバーだ。というかカードゲーム初めましての人に自らも理解できていないJO退化を触らせても何一つ理解できないだろう。仮にジョーカーズを触ってもらえたとして,「合わない…」となってしまえば魂を共にした推しが「悪い人じゃないんだけどね…」みたいなリアクションを浴びて自分が悲しいだけだ。
何よりハイカロリーなデュエマは楽しいが自分自身も疲れる。
やりたければ他の友人とやれば良いし,モチベーションを空の彼方へ放り投げる蛮行だ。
そんな時ふと蘇るマスターデュエルでの記憶。ずっと遊べるこのデッキの存在が閃きを与える。
マスターデュエル最高の遊び方見つけました
— ™のち (@kishao_) 2022年1月26日
友達何人か集めてみんなでこのデッキを作る→ひたすらミラーをやる
まじで時間溶けます、遊戯王の楽しい所全部詰まってる
エクストラは金満用なので何でもいいです#遊戯王マスターデュエル pic.twitter.com/5SaeJ9xSIy
1:1交換を中心に,時折放たれる強烈なアドバンテージを得るカード。相手が必死に並べたモンスターが一度攻撃するや否や《聖なるバリア-ミラーフォース》*1を放って逆転し,《洗脳-ブレインコントロールー》で相手の強力なカードを奪い,《人造人間-サイコ・ショッカー》*2が駆けていく。往年のカードが乱れ飛び,これぞカードゲームと言わんばかりの操作感に溢れたゲーム。
これをDMで再現できないだろうか。
緑を入れてしまうと,カードパワーが何段階にも跳ね上がってしまう。
だがしかし,強力なカードを使う快感も味わってほしい。
単純明快なカードを多く入れて,カードゲームをした!という感触を。
それでいて,カードに振り回されることなく自分の選択がゲームに影響して欲しい。
チュートリアルを経て相手にいくつかの傾向を聞いた所,ハンデスのように対応力と安全になるまで相手を縛れるタイプの方が楽しいとの回答を得る。
やるしかない。
力に溺れた自分を正気に戻し,今一度カードゲームの何たるかを思い出しデュエマに戻る為。
新たにこの世界の門を叩いた友人に,カードゲームの持つ素材そのものの面白さを体験してもらう為。
そして果てはこれから先の新たなる友人との遊びの開拓の為。
伝説をここから始めよう。
令和の世で一番『ボルコン』ミラーを楽しんでやろう。
1.プレイス版
まずは肩慣らしに現代よりもパワーが抑えめかつ実物のカードがなくとも試行回数を増やせるこちらから遊んでみよう,ということで久々に立ち上げたのは『デュエル・マスターズプレイス』。
ここではこうしたリストで遊んでみることにした。
Q :《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》はどこですか?
A:美味しく頂きました。(ポイント的に)
当然,プレイスにおいて《ホワイト》がプールにないわけではない。
ただデュエプレでは《希望と勝利の伝説》が存在せず,7マナ貯めて出して次ターンでの焼却を狙ってターンエンドなどしようものなら即座に《デーモン・ハンド》が飛んできて決定力不足でライブラリアウトまで嬲られるのが関の山だ。
これでは本来の目的の「シンプルなカードでのやり取り」を楽しむことができない。
求めたのは「ボルコンとして強いこと」ではない。「ミラーマッチをして楽しいこと」だ。
よってコンセプトとして以下の条件で構築した。
・ミラーのみを想定。その為全てのカードにプレイすることへのデメリットが付随するように構築した。
・コンセプトとなるアタッカーである《サファイア》,ドロー,ハンデス,除去,墓地orマナorシールド回収,ブロッカーの6種類に該当しないカードは極力採用しないこととした。
・山札に干渉する場合はやや過剰に削るように設定し,片方はライブラリアウトを,もう片方は《サファイア》により殴る側のプレイヤーが生まれるようにした。(《ボルメテウス》)
・極力プレイヤーに「カードをプレイすること」を推奨するべく,ラグの生まれるカードは採用を控えた。
・採用理由
なお本記事内では個別のカードページリンクがない場合,プレイス版のカードを指す。
・《解体人形ジェニー》
実質の《サファイア》確定除去。このハンデスを無に帰されるとゲームが破綻するので《インフェルノ・ゲート》は不採用とした。よって回収手段に《ライク・ア・ローリング・ストーム》,《リバース・チャージャー》,《魔弾ソウル・キャッチャー》を採用した。
・《預言者リク》
《サファイア》を退けた後の盾追加による延命とまたは《ローズ・キャッスル》を突破する為にブレイクされた際の殴り返し要員。ではあるのだが,期待していたほど《サファイア》を迎撃して以後の延命としては機能しなかったので要検討枠。
このリストではサブアタッカーとしての《卵胞蟲ゼリー・ワーム》とpig持ちクリーチャーを多く設定してあり,それらによる《サファイア》のない状態でのビートプランの牽制用。《ローズ・キャッスル》下でも多数のクリーチャー相手にチャンプブロックが可能であり,《サファイア》登場前から除去手段も少ないブロッカー。確定除去としても扱える《不浄の魔人ジャラ》と遜色ないバリューを持つ。
・実際の対戦を経て
結論から言うとこのリストでもやはり籠城は一定以上効果のある戦略とはなってしまったが,アドバンテージを稼ぎつつ殴り手に繋げる,という動きは通せるようになり,白熱したやり取りを行えるリストとして成立した。ここに書き尽くせないほど細部に至るまでシナジーが形成されていき,簡単でわかりやすく面白い,脱・初心者用の教材やアイスブレイクには持ってこいなリストに仕上げられたと感じる。
2.TCG版
当然カードでもやってみたいと考え,リスト構築を開始した。
だがプレイスだからこそフィニッシュターンを10にしても間伸びしなかったまでであり,カード版プールの10ターン目であれば5つ同時に特殊勝利が決まっていてもおかしくない。
そこでこのカードにタイムキーパーを頼むこととした。
アンタッチャブルである自身の攻撃が大きなデメリットとならず,《ホワイト》の登場自体も遅らせることができる。
マッハファイターは色の採用の兼ね合いで存在しない為,限られた手段でこのカードを討ち取れるか,または適切なタイミングでキャストすることができるかを見極めていくゲームとした。
プレイス版の時と採用条件は変わらないが,《ホワイト》の他は「役割が2つ以上あること」を追加条件として採用した。その上で《ホワイト》をキャストしたプランとビートプランが同じだけ成立するように構築した。
加えてプレイス版の時のプレイ感を損なわないよう,実験的にプレイスで採用したカードをそのまま持ち込んだ。
・採用理由
ビートプランを破壊してしまう上に回収の容易さが増す為,ツインパクト版ではなく通常版とした。除去やアンブロッカブルでもゲームになりにくいので,《ホワイト》以外のボルメテウスも不採用とした。
状況次第で《ホワイト》も《オニカマス》も討ち取れる本リストにおける最強の除去カード。《魔薬医ヘモグロ》や各種ラスト・バースト持ちなどの強力なクリーチャーを贄とすることで,自身を最大パワーを持つアタッカーとして残すことも可能。このカードと同様の理由で《「世界をつなぐ柱」の天罰》も採用した。
デッキの大半を無力化する《正義の煌めきオーリリア》を討ち取る1枚。その他呪文での対処の難しい常在のメタクリーチャーをこちらの手札に変換することができるが,《ホースターズ5》には負けてしまったり,《凶鬼93号ジャジャン/冥界からの重低音》をはじめとするラスト・バースト持ちがいる状況では利敵行為を誘発するカードとなる。
チャージャー呪文を牽制しつつ高パワーのブロッカーとして場に残りやすい1枚。《グローリー・スノー》が有効になる場面が少なかった為,こちらを優先した。
《オニカマス》→《チキチキ・JET・サーキット》→《希望と勝利の伝説》というルートに対するカウンターであり,ビートプランにも対応可能な1枚。《オーリリア》《ボルメテウス》により有効札となりにくい為,《Dの博才サイバー・ダイスベガス》も不採用。
・実際の対戦を経て
文字通り全てのカードに役割の持てるリストが生まれ,より白熱した試合が可能となった。
プレイス版以上に入力と出力が釣り合うようになり,失ったリソースを取り返すことも用意であったのでスピード感も申し分なかった。
ただプレイをどちらか片方に依存するとつまづくので,『ボルコン』のプレイ感とはやや異なることには留意したい。
3.終わりに
という訳で久々のカードゲーム記事でした!
本当にご無沙汰過ぎてこのブログがデュエマのブログであるということが忘れられていそうですがまだまだ更新していこうと思っています。少なくとも2ヶ月に1回ぐらいは。
この表題の記事にはVol.1も存在しているのですが今しがた確認した所ナンバリングが盛大に間違っており恥ずかしい思いをしています。.Vo1って何だよ。
ボルコンというデッキは緑抜き4色のデッキの基盤としては申し分なくデュエマにおけるカードのやり取りを体感しやすいリストだなぁと感じる考察期間でした。
《天災デドダム》,《切札勝太&カツキングー熱血の物語ー》などなどアドバンテージという言葉が吹っ飛んでいくような超パワーカードを考えつつデッキを組まなければならない日々。
使うにせよ,抗うにせよゲーム性がカードプールの拡張に伴って難化していく昨今。
今一度カードゲームとしての構造に目を向けることで新たな発見があるかもしれません。
この40種類のカードの中にもいくつものコンボ・シナジー・アンチシナジーを見出せたように。
それにしてもハイランダーの話ばかりしている気がしますが,やはり根っこは統率者戦と共にあるのでしょうか。
またDMEDHについても書けるように遊んでいきたいですね。
それでは次回の記事でお会いしましょう。
お相手はShinでした。
*1:DMで言うところのニンジャ・ストライクのタイミングで放てる全体除去
*2:類義語:《アルカディアス・モモキング》