ジョジョジョ・メモリーズ

ジョーカーズと戯れる紙のオタクの日記

DM背景考察:「プレイヤー」とは、「人」とは

1.経緯

デュエル・マスターズプレイスの最新シナリオEPISODE28「廻路歴程」が公開された。

dmps.takaratomy.co.jp

 

これによって、「デュエル・マスターズ」という世界においての「人」がどのような役割を果たしているのか……ということを垣間見ることができたと感じた。

シンプルに感動したので、それを共有したい。

ネタバレや妄想が多分に含まれるので、苦手な方は読まれないことを推奨する。

 

2.そもそも「人」とは

デュエル・マスターズプレイスのシナリオで示されている世界は大きく分けて4つ。

まず「デュエマシティ」。この世界の中心となっている「カードプレイヤー」が中心の都市。

次に漫画『デュエル・マスターズ』シリーズとアニメ『デュエル・マスターズ』世界が混濁した「決闘者の世界」(カードプレイヤーとは明確に違う為、便宜上呼称を分ける)。

3つにハンター/エイリアン/アンノウン/ゼニス/アウトレイジ/オラクルの共存する…というより、本来背景世界で《永遠のプリンプリン》がその生涯を辿った世界(いわゆるエピソード世界)。

4つに、ランド大陸と禁断を擁し、5つの文明のドラゴンが交戦状態にあったり、革命軍達が侵略者と死闘を繰り広げていた世界(いわゆるDS世界)。

 

ここに、「人」を掘り下げる要素としてカードゲームの方に「S-MAX進化」と「デュエキング世界」があることが示されている。

簡単に言うとこのような図になる。

「人間がいる世界か」「互いの干渉はできる世界か」「移動はできるか」「S-MAX進化があるか」で判断した。

※1:デュエマシティにはEPISODE28現在で「存在していない」だけで、今後S-MAX進化が起こる可能性はある。

※2:現状デュエマシティに来訪している決闘者が「切札ジョーの歴史」に到達していないので、存在の有無はまだ判定できていないが以後歴史が進み彼らが現れるのであれば自ずと登場するだろう。

この世界それぞれが互いの干渉を可能としており、デュエマシティはそのハブのようになっている。

デュエキング世界という物は「どこかで起きた戦いの歴史(=大型大会のマッチアップ)を反映する世界」であるようなので、別世界として存在しており、干渉を受けつつ干渉も与えている…という不安定な物である為一応考慮に含めておく。

 

というのも、今回の考察で前提としている「人間」の存在は、いわゆるルピコの呼ぶ「プレイヤーさん」がつまるところ文字通り現実世界のゲームプレイヤーのアバター、擬似的な同意存在として深く全ての世界に関わっているからだ。

 

つまり我々がデュエマをする、ということが深くこれら全ての世界に作用する。

人間が生命として存在する世界は「プレイヤー」という概念がより具現化した世界。

人間が生命として存在しない世界は「プレイヤー」が観測するに留まっている世界。

深淵を見れば何とやら、という諺のように、プレイヤー自身の動きが反響する世界がデュエプレ背景世界と、そこから示される物語の上での「プレイヤー」の意義になるのである。

 

3.VV-8の起こす革命

ゲームプレイにおいて、我々はクリーチャーに大きく働きかける。

攻撃・防御を指示したり、時には自ら破壊したり、強化したり。

大きなファクターとなるのは、「進化」という能力だ。

 

革命編のクリーチャーは、イラストや他のメディアから分かるように下級のクリーチャーは群生しており、そのいずれかの個体が革命の力を持つ戦士に進化する、ということが示されている。

 

 

 

これはゲームプレイ上、あらゆるカードで進化が可能…というギミックと噛み合う。

ここで、プレイヤーが自らの手でその個体を変化・進化させるという干渉が起こっている。

「君の手で革命を起こそう」という謳い文句の通りに、個体に変化をもたらすのはクリーチャー自身ではなくプレイヤーなのだ。

 

ここで、「プレイヤー」が「進化」をもたらしたクリーチャー達を見ていこう。

 


まずはプレイヤー「カイト」とクリーチャー「キリコ」だ。

キリコはカイトと惹き合い、カイトの技術によって人に近い機械の体を依代として現れることでカイトと深い絆を育んできた。

デュエマシティの異常に際して、それまでの機械の幼い体を捨て、カイトを守るため本来の大人の肉体での演算を開始した。

これは単なる「進化」を超え、カイトという可能性の変数によって新たな可能性に辿り着いた新たな姿を獲得している、ということになる。

キリコが「進化」するためにはカイトというプレイヤーとの関係が重要なファクターであったことがわかったところで、更に大きなファクターを持つクリーチャーに目を向けていこう。

 

 

QEDである。

QEDはクリーチャーワールドにおける《極真龍解オール・オーバー・ザ・ワールド》と《龍覇ザ=デッドマン》の凶行を止めるべく、「対異文明コミュニケーション用インターフェース」として人間に近い肉体を持っており、その後デュエマシティとの交流が生まれたことで新たな姿としてこの《永久龍程式Q.E.D=X》となった。

これは「プレイヤー」という存在が完璧であるQEDに「進化」を与え、新たな変数「X」となったことを示している。

 

こうしてカードとして示される「進化」とも呼べるクリーチャーの大きな変化はVV-8ことヴィヴィと、その親たるギュウジン丸にも現れている。

 

そもそも《禁断機関VV-8》は、その可能性の一部として《禁断樹幹 WO-ZERO》という別個体が存在することが明かされている。

 

VV-8という機関は、時空を操れるその能力から複数の可能性があることがデュエプレのシナリオ上で示されている。

 

そしてプレイヤーが接するヴィヴィももちろんその可能性の一端でありこの個体は「父の凶行から世界を守るべく、デュエマシティ(=プレイヤー)に協力することを決めたVV-8」という個体となる。

 

それはすなわち、侵略ウイルスに目覚めず、侵略者を止めようとした「革命の力」と本質的に起こっていることが同義なのである。

 

対するギュウジン丸は、どの歴史でも敗北が確定している存在だった。

デュエプレ世界でのギュウジン丸は、禁断の到来による自身による世界の支配に概ね成功しており、ヴィヴィはその結末を時間の流れを変えることによって食い止めようとしている。

ギュウジン丸の勝利もプレイヤーが願った「もしも」の世界であると言える。

「VV-8と共に戦いたい」「QEDの新たな方程式を見たい」「キリコの更なる進化を見たい」

デュエプレは時として「もしも」のデュエル・マスターズを再演する場として機能する。

環境においても当時のカードゲームでは存在しなかったカードが大活躍することもあり、当時できなかった挙動を、できたら嬉しいと望まれた挙動が行える様になっている。

このギュウジン丸の活躍もそうした「ありえたかもしれない未来」の一部と言えるのかもしれない。

 

4.Vtuberによる補強

本来は年始に投稿する予定だった記事なので、半月眠らせていたことになる。

その間にまさかの考察の補強が来てしまった。

さて、《切札勝太&カツキング〜熱血の物語〜》というカードがある。

極めて珍しい例として、アニメ中で本人が自分の名前のついたカードを使用するというカードである。

これはつまり、「カツキングというクリーチャー」に「切札勝太」というプレイヤーが作用した結果生まれた唯一のカードである、ということを示している。

 

対応する様に、レッドゾーンは《禁断の轟速ブラックゾーン》という形で、よりバサラの影響を受けた姿が存在したり、そもそも《終焉の覚醒者レッドゾーンBSR》という名を冠した形態まで登場している。

 

終焉の覚醒者 レッドゾーンBSR

 

レッドゾーンもカツキングもその出自には大きく勝太やバサラと言ったキャラクターが関与している存在であるが、それを更に補強する存在として「デュエキング世界」が存在する。

ドギラゴンというカードの強力さはそのトーナメントシーンを一色に染め上げたことで知られているが、その戦いはシナリオ上の超獣世界と異なる世界「デュエキング世界」での戦いを示している。これは実在するプレイヤーの物語が超獣世界に作用することを示している。

 

プレイヤーの名を冠したクリーチャーが登場していることもデュエキング世界の特徴である。

このカードは同じクリーチャーとは異なり、「プレイヤー」の特性を強く受けた個体であることが示されている。

 

そして、それが更に強固になった存在が現れた。

Vtuberコラボカードである。

このボルメテウスは加賀美ハヤトの下に現れたボルメテウス。

我々が持つボルメテウスとは明確に異なる、特定の個体である。

この様に、おそらく特定のクリーチャーではあったはずがVtuberとの結びつきによって明確に別個体になる…ということが起きている。

これはかつて「片目のボルシャック」のように仄めかされていた存在であったが、プレイヤーとクリーチャーの相互作用がより強くなったことで現れた存在だと言えるだろう。

人間がクリーチャーにもたらす影響は、とてつもないものになっているのかもしれない。

 

5.終わりに

この概念に辿り着いたのはS-MAX進化について考えている最中にまさにS-MAX進化、とも言えるヴィヴィと出会えたからである。

考証の甘い部分や、史料の抜け漏れなどあるかもしれないが、その場合は遠慮なくご教示いただけると幸いである。

こうした記事にも取り組めればと思うので、今後とも応援いただければと思う。