ジョジョジョ・メモリーズ

ジョーカーズと戯れる紙のオタクの日記

神アート第二弾販売の裏で一体何が起きていたのか〜回線との開戦〜

 

1. あの日、何が起きようとしていたのか。

2022年7月4日。

この日,DMPは大きなイベントに沸き立っていた。

 

dm.takaratomy.co.jp

 

神アート。

人気イラストレーターの限定仕様のカードやサプライをインターネットで限定販売する,という特別なカードセット商品だ。コレクションアイテムとしての需要が高く,前回は以下のようなラインナップで展開された。

内容を見てみると、スノーフェアリーの描き下ろしフルフレームイラストに,タカヤマトシアキ氏の描くデュエマの看板クリーチャー《ボルシャック》のセットや,水墨画調の絵巻風セットなど,多くのDMPにとって憧れの商品と言える。

しかし前回はタカラトミーモールにアクセスが集中した為にアクセスできないまま売り切れてしまった,というユーザーも確認できた。

そんな神アートの第二弾はこちら。

 

まずは大人気カード《流星のガイアッシュ・カイザー》をはじめとするドラゴン達が擬人化・美少女化したその名も「五人祭でドラゴン♡サマー」。こちらはDMPの多くが注目し,イラストレーターが始めて世に流通したDMカード《超砲手ボルカノドン》を手がけたことでも知られる人気イラストレーター、さいとうなおき氏であることから一躍話題となった。

そしてまさしく創造神と呼ぶにふさわしい,デュエマによる熱い体験を,心躍るドラマを常に生み出し続ける,漫画「デュエル・マスターズ」原作者、巨匠松本しげのぶ大先生による描き下ろしイラストによる超強力サイクル,《決断》呪文サイクルの「超獣創造〜松本しげのぶの世界〜」。こちらはこれまで氏がデザインを手がけたクリーチャーが所狭しと描かれ、更に今回先行収録された待望のジョーカーズの決断呪文《勝熱と弾丸と自由の決断》が収録されていることでも注目を集めていた。

 

そんな魅力あふれる商品、なんとしてでも手に入れようと考える人は少なくなかった。

今回の販売方式である「タカラトミーモール」は直接タカラトミーから商品を買うことができるサイトであり、最近では「デュエル・マスターズプレイス」のコラボデッキの受注販売も行われていた。

タカラトミーモール限定デュエマプレイス コラボデッキ | デュエル・マスターズ

タカラトミーモール限定デュエマプレイス コラボデッキ 第2弾 | デュエル・マスターズ

 

当然オンラインによる販売方法であり、DMPの緊張も高まる。

それもそのはず、彼らは日々インターネット回線と戦い続けているからだ。

日々の中では通称「0回戦」とされるほど、毎週末のCS受付に使うDMPランキングの読み込みが遅いことに始まり、GPでの受付でもサーバーダウンし、直近では超CSの参加権がサーバーダウンで購入できなかった後、告知なしで販売が可能になっていたケースなども踏まえてやや警戒していた人も少なくなかった。

 

そしてここから、彼らは地獄へと足を進めることとなる。

 

2.15分前、僕たちが並んでいた店は盛大に爆ぜた。

 

ここからは実際に筆者と複数人のフォロワーが体験した出来事をベースに記述していく。

本記事は記録としての意味合いも持たせたい為、もし万が一事実と異なること、不足している部分あればTwitter(@Jokers_Jojojo)まで連絡してほしい。

 

17時45分:筆者がログインする為にタカラトミーモール(https://takaratomymall.jp/shop/)へアクセス。

その段階での表示は以下の通り。

 

第一弾の段階での購入経験者曰く、少なくとも前回は観測できなかった事象とのこと。

また同時刻、デュエル・マスターズ公式サイト(https://dm.takaratomy.co.jp/)においてもサイトダウンを観測。*1

ここから一同の顔つきは険しくなる。

以降筆者はフォロワーの多いdiscordサーバーの通話に参加。リアルタイムで10人以上が購入のために試行錯誤と情報共有を繰り返していた。

ページ再読み込みを繰り返すこと30分程度。本来のサイトは一向に表示されない。

「ログインページからサイト自体に入ることはできるが、商品ページには飛べない」

「公式サイトからの方が早くアクセスできた」→「公式サイトの特設ページも崩れているor読み込みが遅い」

「リロードを続けたら文字化けした」→「表示されている『繧オ繝シ繝薙せ繧貞茜逕ィ縺ァ縺阪∪縺帙s縲�』を解読したら『サービスを利用できません』になった」

「モール楽天市場店はまだ1弾目の商品しか掲載されてない」

延べ1時間。あらゆる方法でDMP達はとにかくマイページを目指し続け、上記のような検証を続けた。

 

その時公式は 6時間前に販売開始アナウンスのツイートをして以降完全に沈黙。

 

そして通話参加者のうち1人がとあることに気づく。

これ、公式サイトの特設ページに販売サイトに飛べるリンクないぞ。」 

 

画像

撮影時刻:18時58分

 

 

画像出典:おさ@ゴリラチョコ on Twitter: "前回の神アートはここのリンクから飛んで2時間くらい粘って買えたけど今回はそもそもリンク整備されてなくて草すら生えない https://t.co/WGe7S3vgkK" / Twitter

(時刻まで提供していただきました。ご協力ありがとうございました。)

 

あろうことか、販売開始時刻を過ぎても特設サイトの更新は行われていなかった。

その後19時38分時点でのサイト更新を確認。

画像

この間、公式は全面的に沈黙していた。

 

3.エラーメッセージを乗り越えろ

19時57分:公式Twitterがアナウンスツイートのリプライという形式で現状を把握している旨をツイート。

 

「閲覧できないんだけど?」という総ツッコミを喰らい、既に2時間経過した上での対応に憤る人々も現れ始める。

しかしこの時点でモールへの会員ログインまでは可能になった人達も現れる。

だが文字化けに加えて502503504というようなサイト上へのエラーメッセージが表示されるようにもなり、接続自体の難易度も高まっていた。

 

この時点で通話参加メンバーは片手間にリモート対戦を始め、日付が変わろうとしていた。

 

23時50分ごろ:日付変更以前、反映遅延はあれどついに購入成功者が現れる。

そこから日付が変わり、購入成功報告も増える。

同時にこれまでのリロードによって購入手続きが複数回行われ、意図せず多重購入を誘発してしまったという報告も見られるようになる。キャンセルするためにもサイト上にアクセスしなければならず、また購入履歴にも反映されなかったため、購入の成功・失敗の判定基準は購入完了メールへと委ねられた。

 

 

4.終戦と事後処理

※以降は7/5の出来事 

3時〜3時30分頃;ドラゴン♡サマー完売。まだ松本しげのぶの世界は在庫あり。

3時43分:筆者、松本しげのぶの世界を購入完了。

延べ10時間にわたる筆者の戦いは終わり、就寝。

 

10時47分:状況把握ツイートから10時間経過後、ようやく公式アカウントが沈黙を破る。

内容としては「不正なアクセス」によってサーバーに負荷がかけられてしまったとのこと。

 

不正なアクセス、というワードに疑念を抱いたフォロワーが問い合わせたところ以下のような回答を得られた。(問い合せたフォロワーより提供・許可を頂いて掲載しています)

 

   

 

また,多重注文が行われてしまったフォロワーもキャンセルが無事に完了し,購入履歴が反映されていなかったフォロワーも無事に反映されていた。*2

 

これにて,神アート購入騒動は一応の決着を迎えた。

しかし現在もまだこの方式に翻弄され,商品を求めていた多くの人々の手には全く商品が行き届いていない現状は何も改善されていない。

また二次募集も予定されているが,販売方式が変わらなければより凄惨な光景が待ち受けていることだろう。

今回の騒動において実際にユーザーと販売側で生じた問題は以下の通りである。

 

  • 正規販売時刻前からサーバーがダウンするほど脆弱なサイトを使っての販売
  • そもそも販売開始時刻に整備されていない販売フォーム
  • ユーザー側もいつになったら購入可能になるのかわからず,先着順である為結果サイトに負荷をかける形で購入せざるを得なかった。
  • 以上のような状態に対して公式の言及・対応の遅さ

 

ツール使用とまではいかずとも,購入成功者の多くはタイミングを見計らってページ更新をし続けた末に購入している。無論筆者もその例に漏れない。そして結果的にサイトの負荷を上げることとわかっていながら,手を止めなかった人々が多かったことは,日付変更以降も「アクセス集中」の表示が出ていたことからも明らかである。

決してこれは,購入を試みた人が悪いとは言い切れない。なぜならこの商品は先着順。

「自分がアクセスをやめた瞬間に購入が可能になり,その間に売り切れてしまったら。」

どれだけ善良な人間でも容易に想像することだろう。

ここでもし仮に,「今からであれば安心して買い物ができる」という状況であったなら。

数時間以上購入のために苦心する人々や,買えなかった人が生まれなかったのではないだろうか。

 

もしこの思いを共にする人がいるのであれば,是非このことを問い合わせフォームに送ってほしい。

くれぐれも公式関係者,特にウィザーズ・オブ・コースト社員の方のTwitterアカウント,イラストレーター様,公式アカウントへの誹謗中傷といった形ではなく,あくまで窮状を訴えるために,我々に渡された手段を利用してほしい。

 

takaratomymall.jp

www.takaratomy.co.jp

dm.takaratomy.co.jp

 

私がこうして今回の件をまとめたことも,感情的にならずにどういった状況であったか見つめ直してほしいという願いがベースである。

今後もデュエル・マスターズを楽しむために,企業とユーザーがより良い関係となれることを願って,筆をおくこととする。